◎◎『国銅』上下巻 帚木蓬生
2008年 01月 02日
<極上の銅を命懸けで掘り出し、精錬して鋳込む。若き国人も仲間と共に都に向かった…。奈良の大仏造りに身を捧げ、報われずに散った男達の深き歓びと哀しみを描く大平ロマン>
明けましておめでとうございます。今年の初読みとなった『国銅』はまさにお正月にふさわしい壮大なスケールの物語でした。
かの有名な奈良の大仏が山口県美東町にある「長登銅山」で採掘された銅からつくられれたものとは、この本を読んで初めて知りました。この近くは以前よく通って「長登銅山跡」という看板を何度も目にしたことがあったので、あの山奥から奈良までよくも運んだものだと驚きました。
写真でしか見た事はないのだけど、巨大な大仏が今から1260年以上も前に全国から集められた何千という人足たちの過酷な労働によってつくられたということも初めて具体的に知ることができました。こういう視点で描かれた歴史小説というのは少ないのではないでしょうか。
主人公・国人は過酷で悲惨な生活のなかにあっても、多くの人から学び、誠実で勤勉な性格は周りの人々を励ます存在に成長していく。上下巻あわせて630頁におよぶ長編ですが、随所に心に沁みる言葉が散りばめられていて惹き込まれました。あまりに膨大すぎてうまく感想が書けないのが残念ですが、圧巻は国人が悲惨な生活に押しつぶされるのではなく、その中に喜びを見出していくところ、字や漢詩を覚えることによって広く豊かな世界を手にいれていくところが本当に感動的に描かれていました。
今回は図書館本を借りましたが、さっそく文庫本を購入するつもりです。
明けましておめでとうございます。今年の初読みとなった『国銅』はまさにお正月にふさわしい壮大なスケールの物語でした。
かの有名な奈良の大仏が山口県美東町にある「長登銅山」で採掘された銅からつくられれたものとは、この本を読んで初めて知りました。この近くは以前よく通って「長登銅山跡」という看板を何度も目にしたことがあったので、あの山奥から奈良までよくも運んだものだと驚きました。
写真でしか見た事はないのだけど、巨大な大仏が今から1260年以上も前に全国から集められた何千という人足たちの過酷な労働によってつくられたということも初めて具体的に知ることができました。こういう視点で描かれた歴史小説というのは少ないのではないでしょうか。
主人公・国人は過酷で悲惨な生活のなかにあっても、多くの人から学び、誠実で勤勉な性格は周りの人々を励ます存在に成長していく。上下巻あわせて630頁におよぶ長編ですが、随所に心に沁みる言葉が散りばめられていて惹き込まれました。あまりに膨大すぎてうまく感想が書けないのが残念ですが、圧巻は国人が悲惨な生活に押しつぶされるのではなく、その中に喜びを見出していくところ、字や漢詩を覚えることによって広く豊かな世界を手にいれていくところが本当に感動的に描かれていました。
今回は図書館本を借りましたが、さっそく文庫本を購入するつもりです。
by yangzi-o
| 2008-01-02 22:41
| 読書