◎『とりつくしま』東直子
2007年 10月 04日
死んで心残りのある人が、この世の何かの物に「とりつくしま」になるというお話。妻は夫のマグカップ、弟子は先生の扇子、母は息子のロージンに。私も死んだら何に「とりつくしま」になろうかしらと空想しているうちに、イヤなことも忘れてしまいました。東さんは歌人なんですね。だから文章がとても美しい。
一番好きなお話は「白檀」でした。桃子は16歳のときから死ぬまでずっと心の中で好きだった書道の先生の扇子に「とりつくしま」になる。「すれ違う時間のあたたかさを、淋しさごと飲み込んで過ごした日々」「夏がくるたびに、わたしを開いてくださいね」という言葉が切なくてじんときました。
「日記」も良かったです。最愛の人には悲しみから立ち直って幸せになってもらいたいですから。
一番好きなお話は「白檀」でした。桃子は16歳のときから死ぬまでずっと心の中で好きだった書道の先生の扇子に「とりつくしま」になる。「すれ違う時間のあたたかさを、淋しさごと飲み込んで過ごした日々」「夏がくるたびに、わたしを開いてくださいね」という言葉が切なくてじんときました。
「日記」も良かったです。最愛の人には悲しみから立ち直って幸せになってもらいたいですから。
by yangzi-o
| 2007-10-04 20:13
| 読書