冤罪事件をめぐって、父と子の深い絆を描いた作品です。
 末期癌で余命いくばくもない母親に生き別れたままの異父兄を会わせてやりたいと行方を捜し始めた娘の礼菜は、その父親が死刑囚として収監されていていることを知る。この父親・柳瀬光三の無実の罪に隠された真相が明らかになっていくにつれて、最後まで読まずにはいられませんでした。
 小杉さんの作品ににじみ出る真面目な姿勢が私は好きです。

 5月はこれで12冊読了。
 『鴨川ホルモー』『中庭の出来事』(予約本)がついに手元に届いたので、来週はかぶりつきで楽しみます。
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# by yangzi-o | 2007-05-12 19:45 | 読書
 骨董屋の長女・麻子の中学生から社会人になるまでの成長物語ですが、落ち着きのある美しい文章で綴られていてとても良かったです。風景や場面、心情を丹念に描写した作品が好きなんです。可愛くて要領のいい妹にたいするコンプレックス、執着心がない寂しさを抱える麻子が、家族や同僚、先輩にもまれながら自分にたいする自信を芽生えさせていくところが良かったです。
 「疲れたと口にすることができるのは、しあわせな証拠だったんだと初めて知った。心を許せる人が聞いてくれるから、疲れたと言えるし、ため息もつけるのだ。」
 しょっちゅう、疲れた、疲れたとぼやいている私はしあわせなんだと改めて思いました。
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# by yangzi-o | 2007-05-06 21:43 | 読書
 2007年版「この絵本が好き!」国内絵本第一位に選ばれた絵本です。ルリユールとは製本業と出版業の兼業が長いこと禁止されていたフランスで400年前からつづいてきた製本・装丁の手仕事。
 木が大好きな女の子ソフィーはこわれてバラバラになった植物図鑑を修復してもらうため、ルリユールおじさんを探し出す。製本の工程が綺麗な水彩画でリアルに描かれていてとても興味深いです。
 ルリユールおじさんのお父さんもルリユールだった。「本は大事な知識や物語や人生や歴史がいっぱいつまっている。それらをわすれないように、未来にむかって伝えてくのがルリユールの仕事なんだ」「修復され、じょうぶに装丁されるたびに本は、またあたらしいいのちを生きる」
 こわれた本は大好きなアカシアの絵が表紙に生まれ変わり、『ソフィーの木たち』を金の文字でタイトルを刻まれた本に生まれ変わり、ソフィーは成長して植物学の研究者になる。

 ルリユールのような高度な職人的手仕事にはとうてい及びもつかないのですが、私も製本の仕事しているので、仕事が忙しくなって気持ちがささくれだったとき、また手に取って読み返そうと思います。
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# by yangzi-o | 2007-05-06 19:42 | 読書
このところ大島さんにはまっています。この『ほどけるとける』も良かったです。
 発作的に高校を中退した美和は祖父が経営する銭湯・大和湯のアルバイトを始める。出入り業者や常連客、同僚、恋人との日常のあれこれの会話や出来事が書かれていて、とくに大事件が起きるわけじゃないのですが面白いです。
 「年季が入った女たちのおしゃべりの難易度はけっこう高い。どこかに多量の毒を孕みつつ、表面的にはたいして誰も傷つかないですいすい前へ進んでいく。眺めながら、あんなふうにするすると綱渡りみたいに誰かと関係していくなんて自分には百年経っても無理なんじゃないかと思え、ため息が出そうになった。」
 美和さん、貴方だけじゃないわよ~といたく共感したくだりです。
 何がしたいのかわからず鬱々とした日々をおくっていた美和が、マッサージという仕事に進路を見出していく過程は、『ほどけるとける』というタイトルがピッタリだった。
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# by yangzi-o | 2007-05-05 19:41 | 読書
 図書館に予約したところ2冊手元に届きました。さっそく読んでみたところ、この作品は良かった!
 家庭内別居の両親の元で育った高校生の依子は、父親が単身赴任、母親が海外に出張することになり、友人の梢の家に4カ月間下宿することになる。3世代7人の家族とともに生活するなかで、自分の生い立ちやら家族についてだんだん客観視して自立していこうとする過程の描写がリアルでした。一見和気藹々とした梢の家族にもいろんな問題を抱えていたり、ドラマがあったりで面白くて一気読みでした。
 手元にある『ほどけるとける』や予約している『虹色天気雨』も読むのが楽しみです。
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# by yangzi-o | 2007-05-01 19:46 | 読書